当事務所では、遺言書を作成される皆様に、保管性や法的効力が確実な公正証書遺言の形式をおすすめしています。
民法に定められた遺言は7種類ありますが、殆どの方は公正証書遺言、または自筆証書遺言の形式で作成されています。
ここではこの二つの形式の比較を紹介いたします。公正証書の方が費用と手間はかかりますが、それでもなお公正証書をおすすめする理由がご理解いただけると幸いです。
公正証書遺言と自筆証書遺言
法律の専門家である公証人が作成する公文書です。高い証明力、法的効力があります。
遺言書を公正証書で作成することにより、原本が確実に保管されるとともに、家庭裁判書の検認手続きをせずに速やかに遺産分割手続きができます。
一方で自筆証書遺言とは、ご自身が全て手書きで作成するものです。
以上、非常に簡単に説明しましたが、両者を比較すると下表のようになります。
公正証書の良い点
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
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紛失や改ざんの恐れがない (原本は公証役場に保管されます) |
紛失や改ざんの恐れがある。 また誰も見つけてくれない恐れもある。 |
作成時に形式不備がチェックされるので原則無効にはならない | 家庭裁判所の検認が必要 (1~2か月程度かかり、その間は遺産分割できません) |
家庭裁判所の検認が不要で、速やかに遺言通りの遺産分割ができる。 | 検認の結果形式に不備があれば無効になることがあります |
手が不自由な方も作成できます (署名のみ自筆するのが原則ですが、事情があれば公証人の代筆が可能です) |
全文を自筆する必要があります(代筆、ワープロ、ビデオ等、自筆以外は一切認められていません) |
公正証書の悪い点
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
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公証役場への手数料がかかる (金額が財産の価格に応じて決まり、財産5000万以下で概ね3~5万円以内です) |
公証役場への手数料はかからない (専門家に相談や調査の依頼をする場合は、報酬等がかかります) |
公証役場に行く必要がある (ただし体が不自由などの理由で訪問してもらうこともできます) |
作成場所は問われない |
作成時に証人2名の立会が必要 (当事務所で手配することも可能です) |
証人は不要 |
以上のように、費用がかかる点を除けば、公正証書を選択するデメリットはないと言っても過言はありません。
ご家族の幸せのためにせっかく作成する遺言書、ぜひ安心確実な公正証書にしていただきたいと思います。