20140410_142731株式会社設立定款の記載事項には、必須ではないが、定款に記載をすることで効力が発生する、相対的記載事項があります。
逆に言うと、その事項について法的に効力を持たせたければ定款に記載しなければなりません

相対的記載事項は会社法第28条と第29条に数多く規定されています。
取締役が1~数名の小規模な株式会社の設立を想定して、その一部を解説します。

公告の方法について

株式会社には決算公告(会社法第440条)など各種の公告が義務付けられています。
ここではその方法を記載します。
方法は会社法第939条1項の規定により、以下のいずれかです。

  1. 官報に掲載する方法
  2. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  3. 電子公告

方法を記載しない場合には、同4項の規定により官報に記載する方法になります。
中小企業においては費用の安い官報を選択するのが一般的です。
また、定款への記載は必須ではありませんが、登記には必要な事項ですので、官報以外を選択するのでしたら定款に記載しなければなりませんし、官報を選択する場合にも明示的に記載しておくことが多いのが実情です。

株券の発行について

会社法第214条において、
「株券を発行する旨を定款で定めることができる」
とあります。
つまり株券を発行したい場合には、定款に記載をしないといけません。
ただし、現在株券を発行する株式会社はほとんどありません。
株券を発行しないのであれば定款に記載は不要ですが、この場合でも株式を発行しない旨、明示的に定款に記載しておくことが多いです。

株式の譲渡制限について

会社法第107条2項1号において、
「譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること」を「全部の株式」に適用する場合には定款に記載が必要とされています。
そのような会社を「株式譲渡制限会社」といいます。
そのメリットとして、

  • 株式が勝手に譲渡されてしまうのを制限できる
  • 原則2年である取締役の任期を10年までのばすことができる(332条2項)
  • 取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会を設置しなくてもよいので、取締役1名でも設立できる(取締役会を置く場合は最低3名必要。つまり取締役が3名未満で株式会社を設立したい場合には譲渡制限会社にする必要があります)(326条など)
  • 株主総会に手続きが簡素化される。
    • 通常2週間前までの招集通知が1週間前まででよくなり、定款でさらに直前でもよくなる(299条1項)
    • 招集通知を書面でする必要がなくなり、電話やメールでもよくなる(299条2項2号)

などがあります。
小規模な会社設立の場合、定款にその旨記載して全部の株式に譲渡制限をかけることが多いです。

以上、相対的記載事項は多数ありますので、回を分けて解説します。
また、これを記載しないと定款が無効になる「絶対的記載事項」、定款に記載してもよいし別に定めることもできる「任意的記載事項」についても別の回で解説します。

今日の鎌倉はポカポカ陽気、若宮大路を歩いたら、きれいな花が咲いていました。名前は分かりませんが・・・^^

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