株式会社設立の定款を作る場合、絶対に記載しなければならない事項が6つ、会社法の第27条と第37条に定められています。
一つでも足りないと、定款自体が無効になってしまいます。順番に見ていきましょう。
目的
行う予定のある事業を箇条書きに記載します。
記載された事業以外は行うことができませんし、登記事項でもあるので、将来的に行うかも知れないものも含めて記載しておくと、後から目的を追加する手間・コストが省けます。
また、一般的には最後の項目に「前各号に付帯関連する一切の事業」などと記載して、幅を持たせておきます。
事業目的には、
「適法性」「営利性」「明確性」とが要求されます。(非営利の事業は株式会社の事業目的としては認められません)
会社法施行以前は「具体性」も要求されていましたが、現在は登記の審査対象外なので手続き上はあまり問題になりません。
とはいえ、どんな仕事をする会社なのか、具体的であることに越したことはありませんので、「適法性」「営利性」「明確性」に加え、「具体性」以上4つのポイントを意識するとよいです。
また、許認可が必要となる業種の場合は、事業目的の記載方法が決められているものがありますので、許認可をする行政機関、あるいは許認可業務を取り扱っている行政書士などに確認が必要です。
これは非常に重要です。事前の確認を怠ると設立早々に変更登記をすることになりかねません。
商号
会社の正式名称です。
使用できる文字はひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、数字、一部の符号【&(アンパサンド)、’(アポストロフィ)、,(カンマ)、-(ハイフン)、.(ピリオド)、・(中点)】です。符号の使用は、区切り文字など一定の場合に限られます。
(詳細は法務省の告示を参照)
現在は類似商号の規制がなくなり、同じ住所で同じ商号でない限り、設立はできます。
ただし、会社法の第8条に「不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」とありますし、営業妨害とのクレームがつかないとも限りません。
近隣あるいは同業者と紛らわしい商号、有名な会社とそっくりな商号、商標登録されている商号などは避けるべきだと思います。
本店の所在地
会社の正式な住所です。
番地までを記載する方法と、最小行政区画(市区町村)までを記載する方法があります。
どちらかといえば後者が一般的です。
後者の場合、例えば所在地を「神奈川県鎌倉市」とだけ記載しておけば、鎌倉市内で本店を移転した場合に、定款の変更は不要です。(登記は変更しなければなりませんが)
後者を選択した場合、発起人全員で所在地を定めた旨の「発起人決定書」を、登記申請書に添付することになります。
設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
設立時の出資額です。現金以外だけでなく自動車や事務所不動産などの現物出資もあります。
下限は定められていませんが、設備資金、当初の運転資金などの、きちんとした資金計画を立てて決めるべきです。
発起人の氏名又は名称及び住所
発起人全員分の氏名又は名称及び住所を記載します。
発行可能株式総数
株式発行数の上限です。
公開会社の場合は、会社法第37条3項の規定により、設立時株式総数の4倍が上限です。
公開会社でない場合は上限がありませんが、設立時の10倍程度までが一般的です。
以上、絶対的記載事項のほか、相対的記載事項、任意的記載事項を記載するのが通常です。それらについてはまた解説したいと思います。
若宮大路の桜も大分つぼみがふくらんで来ました。
いよいよ春ですね!
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