– 治首相、外遊お疲れ様でした。いかがでしたか？
今回は、日頃は敵対することの多い、犬のバロン大統領との友好関係構築が一番の目的でしたが、確かな手ごたえを感じました。
これまでの歴史的背景を鑑みれば明らかでありますが、彼とは利益の相反することがあるのも事実です。
彼がご主人夫婦を引き連れて出かけている「オサンポ」の間、私は一人でつまらない時間を過ごすことになります。
彼が時折、風呂場に連れて行かれ、お湯をかけられ、泡だらけにされる「シャンプー」をされるときは私も次に同じ目に合う脅威にさらされることになります。
一方、私がカーペットでぬくぬく、ご主人夫婦と遊んでいる時は、彼は彼なりに面白くないようで、悔し紛れに鼻で鳴いて見せたりもします。
しかし我々には、同じ時間に食事が配給されるという、大きな共通点があります。
もう食事の時間にもかかわらず、ご主人夫婦が帰ってこないことがあります。実に憂慮すべき事態です。猫と犬、過去の歴史、種族の違いを越え、結託してこのような事態の再発防止を、時に強く、時に可愛く、ニャーニャー、ワンワンと訴えていかなければならない、そういう意見で一致しました。
中長期的には量と回数の増加を図りたい、そんな夢を共有し、今回の会談は終了しました。バロン大統領にもゆっくり休んでほしいと思います。
